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パナソニックホールディングスさまに取材させていただきました!

更新日:5 日前

パナソニックホールディングス様に取材させて頂きました!

取材させて頂いたきっかけは、普段からドライヤーなどパナソニック製品を使っており身近な企業として感じていたためです。

記事の最後に松下幸之助ミュージアムについてもご紹介させて頂きます。


○パナソニックグループが目指す姿

パナソニックグループは、「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」を目標とし、地球環境問題の解決への貢献として、環境に優しい家電作りなどに取り組んでいます。また、「くらし」を通じてお客様に、「しごと」を通じて従業員に幸せを提供し、誰もが幸せになる社会を目指しています。


以下は対話の要点を Q&A の形で筆者がまとめています


Q.パナソニックグループについて教えてください

A.パナソニックグループの中には8つの事業会社と37の事業部があるのですが、組織が複雑で、一つの事業部の規模が1000人〜3000人程の中小企業の集まりのような組織形態になっています。一般の企業のように、会社内で事業部ごとに経理や人事、決裁権もあります。


Q.DXに取り組もうと思ったきっかけは何ですか

A.実はパナソニックグループはこの30年業績があまり伸びず、2021年に新しく就任したグループCEOの楠見が「このままではいけない」となり、本気で変えていこうとしたことがきっかけです。

もともと、パナソニックグループでは、事業部同士の競争を通じて全体の競争力を高めようとする社風が強みでした。競争力を高めようとするあまり、各事業部からの要件をIT部門が全て受け入れてシステムを構築してきたことで、社内システムが「九龍城」のように混乱した状態になってしまいました。この現状のままだと誰も全体を把握できず、社内システムに新しい機能を追加するにも大変な手間がかかる状況を打破するため、DXへの取り組みが必要だと判断したのです。パナソニックグループでは、このDXの取り組みを「パナソニック トランスフォーメーション(PX)」として、「デジタルと人の力で『くらし』と『しごと』を幸せにする」というメッセージのもと、企業全体の変革に取り組んでいます。


Q.PXの具体的な取り組み内容について教えてください

A.PXは「あらゆるレガシーを破壊して競争力のギアをあげましょう」という方針の元、3つの階層に分類しています。

まず社員の意識改革を図る「社内風土の変革」、次に業務プロセスを効率化する「働き方の変革」、そして、ITの基盤を刷新する「IT変革」です。この過程でアジャイルという考え方を重視していて、「失敗してもいいから、より早くより良いものを提供するために常に改善を続けること」を大切にしています。こうした取り組みを通じて、組織の風土も変わり、ITの進化に柔軟に対応できるようにしています。


Q. PXを始めるにあたって社員の方々から反対の声などはありましたか

A.ありました。実際に現場で働く人からすると「今のやり方を変えたくない」、「そもそもどう変えたら良いか分からない」という声が上がり、多くの人が賛成しつつも、一部では不安が残っていました。そのため、全役員が集まって2日間PXの方針について話し合う場を設けました。

その中で現場の人たちからの「PXが従業員に浸透していない」という声から「PX:7つの原則」を作り、7原則を指針にしてPXを進めていくことにしました。

この7つの原則の中で特にプロセス、データ、人材の3つが重要なポイントとなります。まずプロセスは、複雑な働き方、オペレーションを簡素化、標準化していくことを目標としており、例えば、同じ業務が部門Aと部門Bで行われている場合は、効率化を高めるために一緒にやるという形です。とはいえ、言葉で言うのは簡単ですが、現場の人たちからするとこれまでのやり方を簡素化・標準化すると言われても「本当に今のやり方を変えてしまっていいのか」と不安に思う声が上がりました。そこで、現場の声を受け、「プロセスオーナー制度」というものを導入することにしました。

この制度は各業務領域ごとにプロセスオーナーを決め、その人たちが責任を持ってプロセスを簡素化・標準化していくことに取り組んでいます。現場の人たちと共にやり方を変え、本気でプロセスを変えていこうという覚悟の現れがこの制度です。


Q.どのような人がプロセスオーナーに選ばれていますか

A.事業会社ごとに選定方法は異なり、CEOや CIOなどの人たちがなる場合もあれば、事業部・業務領域のトップの人がなる場合もあります。


Q.DXの関心度はコロナ禍の影響で高まりましたか

A.対面での人と人の対話からリモートワークによるITツールを利用した環境へ変化したことがDXの関心を高める後押しにはなりましたが、直接的にはトップが変わったことが大きいです。楠見グループCEOに続き、玉置もグループCIOに就任したことでDXが加速しました。


Q.コミュニケーションツールは何を使っていますか

A.MicrosoftのTeamsというツールを活用しています。

以前は、会議日程を個別に調整したり、会議室の取り合いになっていましたが、それがなくなったためだいぶ楽になりました。今では、50名以上が一度に会議に参加することもあり、オンライン会議の導入によって様々な場所から参加できるようになったことは大きいです。


Q.Teamsを使うことによって出社率は以前と比べて下がりましたか

A.事業会社によりますが、在宅勤務は多いイメージです。工場などの現場がある事業部は出社率は高いですね。


Q.DXを導入して最も大きな変化は何ですか

A.パナソニックグループでは、CX(Customer Experience:顧客体験)改革が最も大きな変化の1つです。お客様が製品を購入する際、接客での分かりやすさや、ネット注文の際の簡単なアクセスを通じて、製品の使いやすさを感じてもらい、また購入したいと思っていただけるようにしています。


Q.CXについての具体的な取り組みを教えてください

A.お客様がより使いやすいと感じられるよう、購入前、購入時、購入後の各段階でのデータを活用しています。例えば、ドライヤーを購入したお客様がビューティーサイトにアクセスした際、フェイスケア商品のおすすめがポップアップ表示されるなど、次の購買に繋がるクロスセルを実施しています。また、購入後には、商品をより便利に使っていただくための情報をポップアップで提供し、サイトとの連携を強化しています。

さらに、社員によるライブコマースやオンライン接客を通じて、リアルタイムで商品を紹介し、購買促進をサポートしています。


Q.顧客データは配送でも活用されていますか

A.はい。冷蔵庫などの大型商品の購入時には、過去の訪問履歴を元に、設置が可能かどうかを確認し、配送日時の調整や通知を行っています。こうしたデータの活用によって、スムーズな配送段取りが可能となり、より良い顧客体験を提供しています。


Q.その他CXの取り組みはありますか

A.コールセンターでもCXの取り組みをしています。以前は、お客様からの質問に対してコールセンターが対応できない場合、それぞれの部署に連絡し同じような問い合わせにも毎回手動で一から対応していました。そのため、このプロセスを自動化・システム化するために、弊社のPXアンバサダー制度を活用しました。これにより効率を大幅に改善することが出来ました。


Q.PXアンバサダー制度とは何ですか

A.今年度から始まった制度で、ITスキルを駆使して困っている職場を助けたい社員が登録し、現場の自動化や効率化をサポートするものです。以前はアプリなどを作る際にプログラミングをしないといけませんでしたが、ローコードやノンコーディングツールを使って、アプリ開発や業務自動化がプログラミングの知識がなくても簡単にできるようになりました。現在、アンバサダーは約60人おりこの制度によって、現場で手動で行っていた作業がどんどん自動化されていきます。また、アンバサダーは単に解決を支援するだけでなく、困っている人自身にアプリを作ってもらうため教える側も教わる側もスキルアップすることが出来ます。


Q. 社員向けのPXの取り組みはありますか

A.グループ内のPX事例を公募するコンテストなども開催しています。優秀な事例は表彰され、賞金も用意されています。選ばれたものはグループ全体で共有されるのですが、落選した中にも良い事例が多く、今後もそういった事例を拾い上げて全体に広めていく予定です。これにより、従業員のモチベーションも向上し、グループ全体が活気づいています。


Q.ものづくりの効率化について教えてください

A.ものづくりのプロセスは、設計から部品の調達、製造、品質保証テスト、出荷までの多岐に渡ります。以前は技術部が設計に必要な部品を比較・選定し、購買部に調達を依頼していましたが、生産終了などの理由で部品が調達できず再検討になってしまう場合もあるため時間のロスが課題になっていました。

そこで部品調達を効率化するために、主に部品調達をしている購買部がシステムでデータを一元管理し、それを技術部の人達が確認できるようにしました。この変革によって、技術部も使いたい部品がある際に購買部推奨の部品を検索・確認することで選定時間を削減し、無駄な手戻りを防げるようになりました。


Q.このシステムを導入してどのような効果が得られましたか

A.このシステムにより、技術部は初めから購買部推奨の部品を選定できるようになった上に、購買部も多くの部品を一括で購入するため単価を下げることができ、コストの削減にも繋がりました。


Q.chat GPTなどのAIを使った事業などはありますか

A.PX-AIというチャット形式の生成AIをグループの従業員約18万人に提供しており、特に文章の修正や翻訳機能などに使われています。

その他にも、社内からの問い合わせに対して具体的な応対内容の要約を提供するなど、社内業務の効率化に活用が進められています。


Q.生成AIを使うことによって従業員の方の負担は減りましたか

生成AIの導入によって、様々な文書の修正や翻訳、要約などに活用することで、従業員の日々の作業の負担は軽減されています。さらに、ブレインストーミングやアイデア出し、情報調査など、活用の範囲も拡大して利用しています。セキュリティー面では、入力した情報が二次利用や第三者提供がされないことも担保されています。ただし、生成AIの回答は必ず正確とは限らないので、そのまま利用することは避け、最終的には人による判断・確認を行っています。


Q.DXを促進していくために学生たちに伝えたいことはありますか

A.PXのゴールとして、楠見グループCEOと玉置グループCIOが「Unlock」と「変化の常態化」を掲げていて、今はPXを意識して変革していますが、本当は意識せずとも自然と改善され続けていく状態になってほしいと考えています。そのため、学生の皆さんにも今のうちからそういった姿勢を身につけて欲しいと思っています。


Q.社員向けのPXの取り組みなどはありますか

A.社内向けにグループCEOのYouTubeチャンネルがあり、PXについてグループCIOと対談する回があります。約23万人ものトップの方の意見をこんな風に気軽な感じで言ってくれるのは非常にありがたく、常識にとらわれず変化を積極的に受け入れていこうというメッセージが社員に伝わっています。会社に入ると、つい組織の上層部に合わせた仕事に流れがちですが、それをよくないことだといつも言ってくれるおかげで、私達も仕事がしやすいです。


取材を終えて

今回は台風の影響で日程を調節頂いたりと、不安もありましたが、担当して下さった三宅さんと谷尾さんが親身になってくださり無事取材を終えることが出来ました。

準備していた質問以外のことも紹介していただき、質問への回答も平易な言葉を選んで話していただけたのでとても理解しやすかったです。また、ミュージアムの方では製品や当時のエピソードについてお聞きすることができて、とても楽しい時間を過ごせました。

C X改革に関しては、お客様の声やデータを活用したサイト改善の取り組みを知り、普段何気なく利用しているサイトにもDXが活かされていることに気づきました。例えば、ライブコマースでは実際に商品を見ながら購入を検討できるため、購買意欲を引き出す効果があり、さらにインターネットを通じて手軽に視聴できるため、あらゆる世代の人々に対して幅広くアプローチできる点が印象的です。

PXの取り組みで特に印象に残ったのは、社員向けのYouTubeと社内コンテストです。社内のYouTubeチャンネルでトップの方の生の声を気軽に聞けることで、何十万人もの社員と意識を共有できる点に魅力を感じました。また、上下関係が感じられないフラットな企業文化や社員さんの意見を積極的に取り入れる姿勢にも感銘を受けました。実際にインタビューを通しても親しみやすさやオープンな雰囲気が、この企業文化から生まれているのだと思います。社内コンテストに関しては、誰でも参加できる(参加条件あり)上に賞金ももらえるため、モチベーションを高める良い制度だと思いました。

取材を通じて、パナソニックグループさんのDXに対する本気度や、未来へ向けたビジョンがとても明確だと感じました。各事業部が独自のシステムを構築してしまった結果、九龍城のように複雑化してしまったという例えが分かりやすく、そのような複雑化した状態の中でも、PX推進体制を整えたことが素晴らしいと思いました。

私たちもDXをより身近なものとし、これからも理解を深め、他の学生にもその重要性を伝えていけるよう努力していきたいです。



パナソニックミュージアムを訪ねて…

大阪の門真市にある松下幸之助ミュージアムは、パナソニックグループを一代で築き上げた経営の神様の歴史が詰まっていました。

松下幸之助歴史館に入るとすぐに、松下幸之助氏が歩んだ94年の「道」を写真や言葉で体感できます。

展示室に進むと「松下」姓にちなみ庭園のような空間に松の木がありました。そこから広々とした屋内には、年代ごとの出来事を紹介するパネルや、当時の思い出の品が展示されています。中央には座りながらゆっくりと映像を視聴するスペースもあり、作業場「創造の家」は、当時を原寸大で再現されていてリアルに時代を感じる事ができました。

展示室を見て回りながら、20程の松下幸之助の「名言札」を集め持ち帰る事ができるのは楽しくいい記念になりました。その中でも私は「まず好きになる」という言葉が一番心に響きました。事業に関わらず好きでないと物事は始められないので原動力になる言葉だと感じたからです。

歴史館の隣には、ものづくりイズム館があります。

ここでは、パナソニックグループの歴代の製品がたくさん展示されていて、1970年の大阪万博で展示されていた「人間洗濯機」も見る事ができます。これは現在、介護用洗身用具に進化しており、時代に対応し変化していくものづくりは素晴らしいなと思いました。

初めて見るエボルタNEOくんのCMは、色々な事に楽しそうにチャレンジする姿が印象的でエネルギーとパワーを感じました。

製品をモチーフにしたガチャガチャもあり、学びだけではなく楽しめました。

松下幸之助の哲学を学び、ここから私も目標に向かって自分の道を歩んで行きたいと思います。

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